「なんとなく体がだるい」「肩こりや頭痛が続く」「ぐっすり眠れない」——でも病院で検査をしても「異常なし」。そんなつらさを抱えていませんか?
結論から言います。検査で異常がなくても、体には共通の「サイン」が現れていることが多くあります。そしてそのサインは、体の使い方を変えることで少しずつ整えていくことができます。
つくば市のセミパーソナルジムKick&Coreで指導する理学療法士が、実際に会員さんの体を見てきた経験と文献に基づいて解説します。
※はじめに大切なこと
だるさや頭痛などの症状は、貧血や甲状腺の病気など、検査でわかる病気が隠れていることもあります。まずは医療機関で検査を受け、重大な病気がないことを確認したうえで、この記事のセルフケアを取り入れてください。
不定愁訴とは?「異常なし」でもつらい症状の正体
不定愁訴(ふていしゅうそ)とは、「だるい」「頭が重い」「眠れない」「肩がこる」など、つらい症状があるのに検査では原因が見つからない状態を指す言葉です。正式な病名ではなく、医学的には「医学的に説明できない症状(MUS)」などと呼ばれています(※1)。
海外の研究では、かかりつけ医への新規受診のうち約20%がこうした症状によるものという報告もあります(※1)。つまり、「検査で異常なし」と言われて悩んでいるのは、あなただけではありません。そして「異常なし=気のせい」では決してありません。
理学療法士が見つけた、不定愁訴の方に共通する4つの体のサイン
Kick&Coreには「病院では異常なしと言われたけれど、なんとなく不調が続く」という方が多く来られます。理学療法士として体を見ていくと、共通するパターンがあります。
① 猫背になっている
背中が丸まり、頭が前に出た姿勢です。研究では、猫背の姿勢になると肺活量や息を吐く力が低下することが確認されています(※2)。つまり猫背は見た目の問題だけでなく、呼吸の質を下げる姿勢なのです。
② 呼吸が浅く、肩がすくんでいる
不調が続く方は、無意識のうちに呼吸が浅くなり、息を吸うたびに肩が持ち上がる「肩で吸う呼吸」になっていることがよくあります。浅い呼吸が続くと、体を休めるスイッチ(後述する副交感神経)が働きにくくなると考えられています(※3)。
③ 首・肩まわりの筋肉のバランスが崩れている
肩をすくめる筋肉(※僧帽筋の上部=首から肩にかけての筋肉)がガチガチに緊張している一方で、肩甲骨を下げて支える筋肉(※僧帽筋の下部)がうまく働いていない——このアンバランスが非常に多く見られます。
首・肩の筋肉の緊張は、緊張型頭痛(頭を締めつけられるような頭痛)との関連が複数の研究で示されています(※4)。「肩こりがひどい日は頭も痛い」という方は、このパターンかもしれません。
④ 無意識に力んでいる癖がある
デスクワーク中、気づくと歯を食いしばっていたり、肩に力が入っていたりしませんか?「力を抜く」ことが苦手で、一日中どこかに力が入ったまま過ごしている方がとても多いです。
なぜ「体を回復させられない」のか——自律神経との関係
この4つのサインに共通するのは、体が常に「がんばるモード」のままになっていることです。
体には自律神経(※体温・心拍・消化などを自動調整する神経)があり、アクセル役の交感神経とブレーキ役の副交感神経がバランスを取っています(※5)。
ところが、浅い呼吸・力み・筋肉の緊張が続くと、アクセル(交感神経)が踏まれっぱなしの状態になります。ブレーキ役の副交感神経がうまく働かないため、寝ても休んでも体を回復させることが難しくなる——これが、「休んでいるのにだるさが取れない」状態の背景にあると考えられています。
【実例】週1回の運動、1ヶ月で体が変わり始めた
Kick&Coreに通う会員さんの中には、「病院では異常なしと言われたけれど不調が続く」状態から変わっていった方が実際にいます。
- すっきり眠れるようになった
- 体力がついて、外出がしやすくなった
- また走れるようになった
- 肩こりが気にならなくなり、肩こりからくる頭痛がなくなった
変化を感じ始めるまでの目安は、週1回のペースで1ヶ月程度。最初に変わるのは「体のこわばりや力みが減って、体を動かしたくなってくる」という感覚です。体が「がんばるモード」から抜け出し始めたサインといえます。
これは特別なトレーニングをしたからではありません。固まった体をほぐし、心拍数を上げてからゆっくり落ち着かせる——この繰り返しを無理のない強さで続けただけです。実際に、適度な有酸素運動が自律神経の働き(心拍変動)を改善することは、複数の研究で確認されています(※6)。さらに、運動には不安やストレスを軽減する効果があることも、97件のレビューをまとめた大規模研究で示されています(※7)。
「体力がもつか心配」な方へ——Kick&Coreの進め方
不定愁訴を抱える方が運動を始めるとき、いちばん多い不安は「体力がついていけるか心配」というものです。
Kick&Coreでは、その日の体調を確認し、運動中も心拍数を見ながら強さを調整します。定員4名のセミパーソナルなので、周りに合わせて無理をする必要はありません。休憩を多めに取りながら、自分のペースで進められます。
「体力がないから運動できない」のではなく、体力がないからこそ、安全に見てもらいながら少しずつ動くことが、回復への近道です。
自分でできる不定愁訴のセルフケア3つ
ジムに来る日以外にも、自宅でできる根拠のあるセルフケアを紹介します。
① ゆっくり長く吐く呼吸
ゆっくりした呼吸が副交感神経の働きを高めることは、223件の研究をまとめた解析で確認されています(※3)。実践の目安は1分間に6回程度、「4秒吸って6秒吐く」イメージです。寝る前やデスクワークの合間に、数分間だけでも効果的です。ポイントは「深く」よりも「ゆっくり、長く吐く」ことです。
② 就寝1〜2時間前のぬるめの入浴
40〜42.5℃程度のお湯に10分ほど浸かると、寝つきが良くなり睡眠の質が改善することが研究で示されています(※8)。熱すぎるお湯は逆に体を興奮させるため、「ぬるめ」がポイントです。
③ こまめに姿勢をリセットする
デスクワーク中は1時間に1回立ち上がり、肩をすくめてからストンと落とす・胸を開いて深呼吸する、を習慣にしてください。固まる前にこまめにリセットすることが、力みの癖を断ち切る第一歩です。
よくある質問
病院で異常なしと言われたのに不調が続くのはなぜですか?
検査は臓器の異常を調べるもので、姿勢・呼吸・筋肉の使い方・自律神経のバランスといった「体の使い方」の問題は検査に映りません。検査で異常がなくても、体には改善できるサインが残っていることが多くあります。
不定愁訴に効く運動はありますか?
心拍数を上げてからゆっくり落ち着かせる、適度な有酸素運動が研究上も最も根拠があります(※6)。Kick&Coreでは、固まった体をほぐしながら無理のない心拍数で動けるキックボクシングと、体の奥の筋肉を整えるピラティスを組み合わせています。
体力に自信がなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。その日の体調と心拍数を確認しながら、休憩多めの個別ペースで進めます。体力に自信がない方こそ、専門家の目があるところで始めることをおすすめします。
どのくらいで変化を感じられますか?
個人差はありますが、週1回・1ヶ月程度で「体のこわばりが減って動かしたくなってきた」と感じる方が多いです。睡眠や肩こりの変化はその後についてくることが多いです。
まとめ:「異常なし」のつらさは、体の使い方から変えられる
- 不定愁訴は「気のせい」ではありません——検査に映らないだけで、猫背・浅い呼吸・筋肉の緊張・力みの癖という共通サインが体に現れています
- 背景には自律神経のアンバランスがあります——「がんばるモード」が続くと、休んでも回復しにくくなります
- 週1回・無理のない運動で体は変わり始めます——こわばりが減り、眠り・肩こり・体力に変化が出た実例があります
Kick&Core(キックアンドコア)では、理学療法士が姿勢・呼吸・力みの癖まで含めて体を評価し、一人ひとりに合った運動を提案しています。「どこに行っても異常なしと言われたけれど、このつらさを何とかしたい」という方は、まずは体験レッスンでご相談ください。
参考文献・データ出典
- ※1 鳥取大学医学部地域医療学講座「医学的に説明できない症状(MUS)」/Medically Unexplained Symptoms: Faults and Implications(PMC, 2019)
- ※2 Lin et al.(2006)「座位姿勢が肺活量・呼気流量に与える影響」Arch Phys Med Rehabil
- ※3 Laborde et al.(2022)「ゆっくりした呼吸が心拍変動に与える効果:システマティックレビューとメタ解析」Neuroscience & Biobehavioral Reviews
- ※4 Fernández-de-las-Peñas et al.(2007)「筋膜トリガーポイントと緊張型頭痛の痛みモデル」Cephalalgia
- ※5 厚生労働省 e-ヘルスネット「自律神経失調症」
- ※6 Amekran & El Hangouche(2024)「健常成人における運動トレーニングが心拍変動に与える効果:RCT16件のメタ解析」Cureus / PLOS One(2024)身体活動とHRVのメタ解析
- ※7 Singh et al.(2023)「身体活動が抑うつ・不安・心理的苦痛に与える効果:97レビューの統合」British Journal of Sports Medicine
- ※8 Haghayegh et al.(2019)「就寝前の入浴・シャワーと睡眠の質:システマティックレビューとメタ解析」Sleep Medicine Reviews


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