「ピラティスを続けているのに、体力がついた実感がない」「姿勢は良くなった気がするけど、相変わらず疲れやすい」——そう感じたことはありませんか?
結論から言います。ピラティスは「体を整える」ことに関して非常に優れた運動です。ただし、心肺持久力(スタミナ)は、ピラティスだけではつきにくい。これはピラティスの欠点ではなく、役割の違いです。
つくば市天久保のセミパーソナルジムKick&Coreで、ピラティスとトレーニングの両方を指導する理学療法士が、この「役割の違い」と、整えた体をどう活かすかを、研究データもまじえて解説します。
ピラティスで身につくもの——「体の操縦」がうまくなる
まず、ピラティスの価値を正当に評価させてください。ピラティスで身につくのは、主にこの3つです。
- 体を思い通りに動かす制御力(専門的にはモーターコントロール)
- 自分の体の精密な地図(ボディマップ)——「今、どこが動いているか」を感じ取る力
- インナーマッスルを効かせた状態で体を動かす能力
研究でも、ピラティスは柔軟性・動的バランスの改善に強い根拠、筋持久力の改善に中程度の根拠が示されており(※2)、姿勢の改善を支持するレビューもあります。体幹の運動制御を高める運動が、動きの質や腰部の安定に役立つことも報告されています(※6)。
つまりピラティスは、体の「操縦技術」を磨く運動です。操縦がうまくなると、余計な力みが抜け、姿勢が整い、動きの質が変わる。これは他の運動ではなかなか得られない、ピラティスの確かな強みです。
ピラティスだけでは、つきにくいもの
一方で、次の能力はピラティスだけではつきにくいのが実際のところです。
- 心肺持久力(いわゆるスタミナ)
- 大きな力を出す筋力
- パワー・瞬発力
「体力」とは本来、心肺持久力・筋力・筋持久力・柔軟性などからなる多面的なものです(※1)。ピラティスはこのうち柔軟性や筋持久力などを担いますが、スタミナの土台である心肺持久力を伸ばすには、運動強度が足りにくいのです。
実際に強度を測定した研究では、ピラティスの運動強度は約3.0〜3.7メッツと、ゆっくりした歩行と同程度の低〜中強度でした(※3)。心拍数が十分に上がらない運動では、心肺は強くなりにくい——これが「続けているのに疲れやすいまま」の正体です。あなたのやり方が悪いのではなく、そもそもピラティスが担当する領域ではなかったのです。
「燃費」は良くなる。でも「タンクの容量」は増えない
私が会員さんによく使う説明があります。
ピラティスで体が整うと、体力を消耗する速度がゆっくりになります。力みが抜けて、ムダなエネルギーを使わなくなるからです。車で言えば、燃費が良くなるイメージです。動作の効率が高まると、同じ活動での負担が軽くなる——これは運動生理学でも「運動の経済性」として知られる考え方です。
でも、それはあくまで「減る速度」の話。タンクそのものの容量——体力の総量——が少なければ、燃費の良い車でも、すぐにガス欠になります。
「整えているのに疲れやすい」の正体は、多くの場合これです。燃費は良くなったのに、タンクが小さいまま。だから必要なのは、ピラティスをやめることではなく、タンクを大きくする運動を足すことなのです。
そして、タンクを大きくする方法は研究上はっきりしています。米国スポーツ医学会は、心肺持久力の向上には中強度の有酸素運動を週150分以上(または高強度で週75分以上)を推奨しています(※5)。つまり、心拍数がしっかり上がる時間が必要なのです。
正確に言えば、ピラティスでも心肺持久力の向上を示した研究はあります(※4)。ただし効果は限定的で、研究の質も高くないと評価されています。「ピラティスは無意味」でも「ピラティスだけで十分」でもなく、目的に応じて使い分けるのが、研究からも導かれる答えです。
現場で見る「ピラティス経験者」の実際の体
Kick&Coreには、マシンピラティスやスタジオに通った経験のある方も多く来られます。理学療法士として体を見せていただくと、こんな状態が珍しくありません。
- 反り腰・猫背・巻き肩など、姿勢の乱れが残っている
- 一見姿勢が整っているように見えても、体が力んでいる
- 実際に動作をしてもらうと、苦手な動きが多い
これは通っていたスタジオが悪いという話ではありません。「整っているか」は、止まった姿勢ではなく、動きの中でしか確認できない——ということです。だからKick&Coreでは、最初に必ず動作を見る姿勢チェックから始めます。
整えた後が本番——「整った体の使い方」で動く
では、どう組み合わせればいいのか。順序はシンプルです。
- ピラティスで整える——操縦技術とボディマップを作る
- 整った体の使い方のまま、動く——ファンクショナルトレーニング(立つ・持つ・しゃがむなど日常に近い動き)で、整いを「使える動き」に変える
- 心拍数をしっかり上げる時間を作る——体力(タンクの容量)は、心拍が上がる運動でしか増えにくいからです(※5)
整えるだけでは、不十分。整った体の使い方を土台にして運動をするから、「整って、動ける」ようになる——これがKick&Coreの設計思想です。
実際、ピラティス経験者の方がうちのレッスンを受けると、「これまでどこに効いているかわからなかったけど、ここだと効いている場所がわかる」という声をよくいただきます(個人の感想です)。理学療法士が最大4名を見ながら、動きを一つずつ確認して声をかけるからこそ、効かせる感覚が育ちます。
Kick&Coreでの「整える×動く×体力をつける」
- ピラティス/ファンクショナルトレーニング/キックボクササイズを、その日の体調と目的に合わせて組み合わせます
- ケトルベルやウォーターバッグ(水の揺れで体幹を使う道具)など18種類以上の道具で、飽きずに段階的に負荷を上げられます
- 最大4名・1回40分・完全予約制。93%が運動初心者からスタート。理学療法士が心拍数と動きの質を見ながら進めます
料金は月4回13,980円〜(1回あたり2,298円〜・回数繰り越しOK・在籍期間の縛りなし・退会時の違約金なし)。詳しくは料金プランのページをご覧ください。場所はつくば市天久保1-17-15 BellBox101(松見公園・筑波メディカルセンター病院近く・駐車場あり)です。
よくある質問
今通っているピラティススタジオは、やめるべきですか?
やめる必要はありません。ピラティスで整える時間には十分な価値があります。そこに「体力をつける時間」を足すのが理想的な形です。Kick&Coreを併用先として使っていただいても構いません。
ピラティスと筋トレ、どちらをやるべきですか?
目的によります。動きの質・姿勢を変えたいならピラティス、体力・筋力をつけたいならトレーニングです。そして疲れにくい体を目指すなら、両方が答えになります。順序は「整えてから、動く」がおすすめです。
運動初心者ですが、いきなり両方は大変ではないですか?
大丈夫です。1回40分の中で、その日の体調に合わせて配分を調整します。93%が運動初心者からのスタートです。
どのくらいで体力の変化を感じますか?
個人差はありますが、週1〜2回の継続で2ヶ月前後から「疲れにくくなった」「階段が楽」といった変化を実感する方が多いです。
まとめ:ピラティスは「土台」。その上に体力を積む
- ピラティスで身につくのは「体の操縦技術」——柔軟性・バランス・筋持久力も含め、これ自体が大きな価値です
- 心肺持久力(スタミナ)は別の運動の担当——強度が歩行程度のため、つきにくいのは仕組みの問題です
- 燃費とタンクの両方が必要——整えて消耗を減らし、心拍を上げて容量を増やす
- 整えた体は、使ってはじめて意味を持つ——整えた体を、毎日動かせる体へ
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参考文献・出典
- ※1 体力の構成要素(心肺持久力・筋力・筋持久力・柔軟性・身体組成):米国スポーツ医学会(ACSM)の健康関連体力の定義/厚生労働省e-ヘルスネット
- ※2 ピラティスの効果:Cruz-Ferreira et al.(2011)「健常者におけるピラティスの効果:システマティックレビュー」Arch Phys Med Rehabil(柔軟性・動的バランスに強い根拠、筋持久力に中程度の根拠)/Li et al.(2024)姿勢改善のシステマティックレビュー BMC Sports Sci Med Rehabil
- ※3 ピラティスの運動強度実測:Tinoco-Fernández et al.(2016)J Bodyw Mov Ther(約3.0〜3.7メッツ・低〜中強度)
- ※4 ピラティスと心肺持久力:メタ解析(2023・12RCT・569名)Complement Ther Clin Pract——改善を示すがエビデンスの質は低いと評価。週2回×3ヶ月以上の継続が条件
- ※5 心肺持久力向上の推奨:ACSM Position Stand(2011)——中強度の有酸素運動を週150分以上、または高強度で週75分以上
- ※6 体幹の運動制御トレーニング:Saragiotto et al.(2016)Cochraneレビュー——痛み・機能の改善を支持(他の運動形式より優れているわけではない、との評価も含む)

