筋トレしているのに不調が治らない理由|ファンクショナルトレーニングとは?理学療法士が解説

筋トレを続けているのに、腰の張りが取れない。プランクは1分できるのに、床のものを拾うと腰がつらい。スクワットはできるのに、階段で膝が痛む。

こうしたご相談を、現場で何百回と受けてきました。そして多くの場合、足りないのは筋力ではありません。

結論から言います。ファンクショナルトレーニングとは、日常生活で使う動き(しゃがむ・立つ・ひねるなど)をスムーズにできる体をつくるトレーニングです。筋肉を一つずつ鍛えるのではなく「動きの質」を高めるため、姿勢や体の不調の根本改善につながりやすいのが特長です。

目次

ファンクショナルトレーニングって何?

ファンクショナルトレーニングとは、
「日常生活で使う動き(しゃがむ・立つ・ひねるなど)をスムーズにできる体をつくるトレーニング」
のことです。

ポイントは、ただ筋肉を大きくするのではなく、“体をうまく動かせるようになる”ことを目的にしている点。

たとえば──

荷物を持つときに腰が痛くなる
椅子や床から立つ時に気合を入れなければならない
スポーツで思ったように体が動かない
階段の上り下りですぐに疲れる

こういった悩みの多くは、「筋肉のバランスの悪さ」だけの問題ではありません。「全身の筋肉の連動性」が原因です。
歯車がうまく噛み合っていないような状態をイメージするとわかりやすいかもしれないですね。
ファンクショナルトレーニングではこの歯車を再び噛み合わせて、本来の自然な動きを取り戻していくようなトレーニングです。

リハビリから生まれたトレーニングです

ファンクショナルトレーニングのルーツは、医療現場のリハビリテーションにあります。ケガや手術のあとの方が「日常生活に戻れる体」を取り戻すために、理学療法士や作業療法士が用いてきた手法が起源です。

つまりこのトレーニングは、もともと「体に無理をさせない」ことを前提に設計されています。ハードに追い込むものだと思われがちですが、出発点はまったく逆です。

普通の筋トレとの違いって?

一般的な筋トレファンクショナルトレーニング
一つの筋肉をピンポイントで鍛える体全体をバランスよく使う
重たいダンベルを持ち上げるなど器具だけでなく自重(自分の体重)中心でも効果的
見た目を重視動きやすさ・姿勢の良さを重視

アームカール(腕の一般的な筋トレ)

ブルガリアンバッグ+ウォーク
(体全体のバランスも使うトレーニング)


→ ファンクショナルトレーニングでは「しゃがんで立ち上がる動作」や「ひねる動作」「重りを持ったまま歩く」など、全身を使ったトレーニングがメインです。

体幹トレーニングとは何が違うのか

体幹トレーニングは「土台づくり」

プランクやサイドプランクは、体の真ん中を安定させる運動です。家でいえば土台にあたります。土台がグラグラなら、上も不安定になる。だから体幹トレーニングには意味があります。

でも、土台だけでは家に住めません

柱や壁や屋根がつながって、はじめて家として使えます。体も同じで、体幹だけを固めても、手足とうまくつながって動けなければ日常生活では使いにくいままです。

  • 体幹トレーニング=体の真ん中を支える練習
  • ファンクショナルトレーニング=その支えを使って全身を動かす練習

「プランクはできるのに腰がつらい」が起こる理由

プランクは「止まる練習」です。でも生活の動きは違います。歩く、しゃがむ、振り向く、顔を洗う、上のものを取る——体はずっと少しずつ動いています。

自転車を思い浮かべてください。止まったままバランスを取るのと、走りながら取るのでは感覚がまるで違いますよね。体幹も同じで、必要なのは動きながら支える力です。

だから、こういうことが起きます。

  • 歩くと腰がつらい
  • しゃがむと腰が張って、すぐ重くなる
  • 手を上げると腰が反り、洗濯物の取り込みがつらい

「固める」のではなく「必要な分だけ支える」

体幹というと「とにかくお腹を固める」と思われがちですが、ずっとガチガチでは動けません。肩に力が入りっぱなしだと疲れるのと同じです。必要なときに、必要なだけ働ける状態がゴールです。体幹の基本的な鍛え方は体幹トレーニングの記事で詳しく解説しています。

理学療法士の現場からの実感

病院や整体院でのリハビリ・運動指導の現場でも、近年はこのファンクショナルトレーニングの要素を積極的に取り入れるケースが増えています

もちろん、筋トレ自体はとても大切です。
「お尻の筋力が弱い」と診断されれば、お尻の筋肉(大臀筋や中臀筋)を鍛えるトレーニングを処方することもあります。

しかし実際には、ただ筋肉を鍛えるだけでは、日常生活の動きにはうまくつながっていかないというケースも少なくありません。

たとえば…

  • スクワットはできるのに、階段を登ると膝が痛む
  • ヒップリフトは得意なのに、立ち仕事で腰がつらい
  • 筋肉量はあるのに、転倒やつまずきが多い

こうした方々に共通するのが、「筋肉の連動性」が不足していることです。

「パーツを鍛える」だけでなく、「動作として使う」ことが重要

ファンクショナルトレーニングでは、個々の筋肉の強化だけでなく、それらを協調的に“使える状態”にすることに重点を置きます。つまり、筋トレと動作改善の“橋渡し”となるアプローチです。

  • お尻の筋力 ➤ 立ち上がりや歩行動作へ
  • 体幹の安定性 ➤ 猫背・反り腰の改善へ
  • 肩甲帯の可動性 ➤ 肩こりや頭痛の緩和へ

こうした機能的なつながりをつくっていくことで、実際の生活動作がラクになり、痛みの再発予防や姿勢改善にもつながるのです。

現場で見てきた実例

症例①:筋肉はあるのに腰がしんどい40代男性

スクワットもベンチプレスも重い重量を扱える方でした。それなのに腰がいつも張り、床のものを拾うのがつらい。

原因は筋力ではありませんでした。股関節の動作不良、胸椎の回旋不足、体幹の安定性の欠如——動きの誤作動です。正しい使い方を意識したトレーニングを2か月続けた結果、腰の張りが減り、体を楽に動かせるようになりました。

症例②:肩こり・頭痛が10年以上続く40代女性

マッサージや整体に通ってもすぐ戻る、という方でした。

原因は肩ではなく、肩甲帯の安定性低下・首の可動域制限・体幹と肩の連動不足・無意識の力み——全身の動作エラーでした。インナーマッスルを働かせながら体をリラックスさせる使い方と、全身を連動させる動きを取り戻すことで、肩こりの頻度が大きく減り、頭痛や吐き気にも悩まなくなりました。

どちらも、筋肉そのものではなく「動作の質」を変えることで改善した例です。

※効果には個人差があり、すべての方に同じ変化が起こるとは限りません。

ファンクショナルトレーニングの5大原則

一般に、次の5つが原則として紹介されています(※4)。

  • ① 重力の利用:私たちは常に重力の中で動いています。重力に対抗できる体をつくることが出発点です
  • ② 分離と協同:筋肉や関節にはそれぞれ役割があります。一度分けて捉え、個別に機能させたうえで、再びつなげます
  • ③ キネティックチェーン(運動連鎖):動作は1つの筋肉では起きません。地面から足→お尻→体幹→上半身へと力が連鎖します
  • ④ 3面運動:体は前後だけでなく、左右・回旋の3方向に動きます。実生活の動きは常にこの組み合わせです
  • ⑤ 力の吸収と発揮:高く跳ぶ前に必ずしゃがむように、大きな力は一度ためてから出ます。吸収できないと発揮もできません

難しく見えますが、要は「重力の中で、全身をつなげて、3方向に、ためて出す」ということです。マシンで1つの筋肉だけを動かす運動には、この要素がほとんど含まれません。

ファンクショナルトレーニングの5つの基本動き

ファンクショナルトレーニングには、体をバランスよく使う「基本の動き」があります。

動きどんな運動?何に効く?
押す(プッシュ)腕立て伏せなど胸・腕・お腹まわり
引く(プル)ロウイングなど背中・腕・肩
しゃがむ(スクワット)スクワットなど足・お尻・体幹
体を曲げる(ヒンジ)デッドリフトなど腰・お尻
ひねる(ローテーション)ツイストなどお腹・背中・バランス感覚

これらを正しい姿勢で行うことで、体全体のバランスが良くなります

姿勢が悪いと、体のあちこちが痛くなる理由

例えば、こんなことありませんか?

  • 猫背でスマホを見ていると首や肩がつらくなる
  • 足を組むクセがあると腰が痛くなる
  • 片足に重心をかけて立つクセがある

これらはすべて、「姿勢が崩れたまま動いている」ことが原因。

ファンクショナルトレーニングでは、「動いているときの姿勢(動的姿勢)」を整えることをとても大切にしています。

自分でやるときのポイント

気をつけたい3つのこと

  1. フォームを大切にする(正しいやり方を覚える)
  2. いきなり重い負荷をかけない(はじめは軽く、少なく)
  3. 継続することがいちばん大事!

無理に自己流でやると、逆に体を痛めることもあります。
できれば、体の動かし方をよく知っている人に見てもらうのがおすすめです。

あなたの「動きの質」セルフチェック

私がレッスンの初回に必ず確認しているポイントを、自宅で試せる形にしたものです。鏡の前で、動きやすい服装で行ってください。ふらつきが不安な方は、壁のそばで。痛みが出る動きは、その場で中止してください。

チェック① 片脚立ち

両手を腰に当てて、片脚で立ちます。左右どちらも試してください。

  • ふらついて数秒しか立てない
  • 骨盤が横に落ちる(支えている脚と反対側のお尻が下がる)
  • 足の指で床を強くつかんでしまう

こうしたサインがある方は、股関節まわりの筋肉や足裏の感覚がうまく使えていないのかもしれません。片脚立ちの時間は身体機能の指標として研究でも用いられており(※5)、片脚立ちの安定は歩行の安定に直結します。歩くことは「片脚立ちの連続」だからです。

チェック② スクワット

腰幅に立ち、ゆっくり5回しゃがんで立ちます。

  • 膝が内側に入る
  • 踵が浮く
  • 腰が丸まる、あるいは反りすぎる

これらは、股関節や足首の動きの制限、体幹の支えの弱さを、他の場所がかばっているときに現れやすい動きです(臨床で私が最も頻繁に見るパターンです)。

チェック③ 深くしゃがみこむ

踵を床につけたまま、いちばん下までしゃがみます。

  • 踵が浮いてしまう
  • 後ろに転がりそうになる

足首の硬さや、重心のコントロールの課題が見えやすい動きです。和式トイレや床の物を拾う動作がつらい方は、たいていここに引っかかります。

自分では見えない部分もあります

呼吸のしかた、歩き方、体の力み具合——これらは、実は会話をしながらでないと分かりません。緊張すると息を止めて動く癖、肩が上がったまま固まる癖は、ご本人はまず気づけないからです。レッスンではお話ししながら、この「見えない部分」を私が直接確認します。

こんなときは、運動より先に受診を

次のような場合は自己判断で運動を始めず、まず医療機関にご相談ください。

  • じっとしていても痛む、夜間に強く痛む
  • 手足のしびれや力の入りにくさが進んでいる
  • 転倒などのケガのあと、痛みが続いている
  • 発熱や体重減少をともなう

つくば市で始めるなら「Kick & Core」

つくば市にあるセミパーソナルジム「Kick & Core」は、ファンクショナルトレーニングの要素も取り入れたレッスンを行うスタジオです。
理学療法士がいるので、姿勢や体のクセを見たうえでトレーニングを教えてもらえます。

  • パーソナルジムよりも気軽に通える「少人数レッスン」
  • 初心者や運動が苦手な方でも大丈夫
  • 体験レッスンもあります◎

「運動してみたいけど、何をやったらいいかわからない…」
そんな人にこそ、ぴったりの場所です。

料金は月4回13,980円〜(1回あたり2,298円〜)。詳しくは料金ページをご覧ください。「疲れやすさ」が気になっている方は体が重い・疲れやすいの記事もどうぞ。

まずは無料体験で、今の「動きの質」を理学療法士と一緒に確かめてみませんか。体験は無料・当日入会で入会金27,500円が0円。質問だけでも構いません。

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まとめ:動ける体は、自分へのプレゼント

ファンクショナルトレーニングは、
ただ筋肉を鍛えるだけのトレーニングではありません。

体が疲れにくくなる
姿勢が良くなる
怪我をしにくくなる
動きやすくなる

そんな「毎日の生活を楽にする体づくり」のためのトレーニングです。

高校生でも、大人でも、年齢に関係なく始められます。
まずは、あなたの体の“本来の力”を信じて、一歩踏み出してみませんか?

参考文献

※1. 筋力トレーニングが身体機能および身体活動に与える影響
理学療法ジャーナル 51巻5号, 2017年, pp.409-415
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2017/0/2017_1931/_pdf
※2. 機能的トレーニングの理論と実践
Michael Boyle(著) Functional Training for Sports, 2016
※3. ヒトの運動における筋の協調性とその適応
体力科学 Vol.66 (2017) No.6 pp.647-653
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/66/6/66_647/_pdf

▶ 実際のレッスンの流れを見る: ファンクショナルトレーニング|レッスン紹介(進め方・強度の目安)

参考文献(追記):※4 ファンクショナルトレーニングの5大原則は、フィットネス指導の現場で広く紹介されている整理です(出典例:フィットネスオンライン ほか)。学術的に確立された単一の定義ではなく、指導現場で用いられる枠組みとしてご理解ください。/※5 Michikawa T, et al. One-leg standing test for elderly populations. J Orthop Sci 2009(片脚立位時間は身体機能の評価指標)・Araujo CGS, et al. Successful 10-second one-legged stance performance predicts survival in middle-aged and older individuals. Br J Sports Med 2022(51〜75歳対象の観察研究。若年層への基準値として確立されたものではありません)。

監修:高任良知(理学療法士)/本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、診断・治療を目的とするものではありません。

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この記事を書いた人

高任 良知のアバター 高任 良知 理学療法士・Kick & Core代表トレーナー

Kick & Core代表トレーナー・理学療法士(国家資格)。病院・整体院での臨床経験を経て、つくば市天久保のセミパーソナルジムKick & Coreで最大4名の少人数制キックボクシング・ピラティスを直接指導。
【保有資格】理学療法士国家資格/PHIピラティスインストラクター MATⅠ&Ⅱ・PROPS/Fascial Manipulation Level 1〜3/Crush & Core Bodywork Instructor/Vision Assessment Trainer/ファスティングマイスター

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