仕事が終わるころになると、腰がじんわり痛む。車で長く移動すると、だんだん腰がつらくなってくる。
つくばで腰痛に悩む40〜50代のデスクワークの方から、よく伺うお悩みです。整体やマッサージに通うと、その日は楽になる。でも、しばらくするとまた戻ってしまう。
この記事では、腰痛を運動で改善したいと考えている方に向けて、理学療法士の立場から次のことをお伝えします。
- 慢性的な腰痛に、運動がすすめられている理由
- 整形外科・整体・マッサージ・ジムの使い分け
- 腰痛がある人のジムの選び方と、自宅でできるセルフケア
先に結論をお伝えすると、3ヶ月以上続く慢性的な腰痛には、運動療法が日本の診療ガイドラインでも強くすすめられています。ただし、先に整形外科を受診すべき腰痛もあります。その見分け方から順に解説します。
腰痛は「運動で改善する」がすすめられている
日本整形外科学会と日本腰痛学会がまとめた「腰痛診療ガイドライン2019」では、慢性腰痛に対する運動療法が強く推奨されています(※1)。
海外でも、249件の研究をまとめた分析で、運動療法は何もしない場合などに比べて痛みを改善し、その差は「実感できる大きさ」だったと報告されています(※2)。
安静にしすぎない
腰が痛いと、つい安静にしがちです。でも、長く安静にしすぎるとかえって回復が遅れることがわかっており、痛みに応じて動ける範囲で活動を続けるほうがよい、というのが国際的な共通見解です(※3)。
また、画像検査で「椎間板が変性している」などと言われても、痛みのない人にもごく普通に見られる年齢による変化であることが多く、必ずしも痛みの原因とは限りません(※4)。必要以上に怖がって、動くのをやめる必要はありません。
なぜ、腰だけケアしても戻るのか
「腰が痛い=腰が悪い」と思われがちですが、そうでないことも多いのです。
腰は“被害者”。原因は、腰をはさんでいる股関節と背中(胸椎)の硬さであることが多い——これは私が臨床で大切にしている見方です。

股関節や背中が硬くなって動きが悪くなると、その動きを腰が代わりに頑張ってカバーします。結果として腰を使いすぎてしまい、張りや痛みが出ます。原因が腰以外にあるので、腰だけに対処してもよくならない、すぐ戻ってしまうのです。
※股関節の動きと腰痛の関連は研究でも報告されていますが、「股関節が硬いから必ず腰痛になる」と言い切れるほどの強い証拠はまだありません。腰だけでなく全身を見て動かすことが理にかなう、という考え方です(※5)。
整形外科・整体・マッサージ・ジムの使い分け
腰痛のときにどこへ行けばいいかは、迷うところです。理学療法士としては、次のように使い分けることをおすすめしています。
| 行く場所 | こんなときに | 役割 |
|---|---|---|
| 整形外科 | 腰痛になったら、まず最初に | 原因を調べ、重い病気がないかを確認する |
| 整体・マッサージ | 痛みや張りが強いとき | つらい症状をやわらげる(その場の対処) |
| ジム(運動) | 整体やマッサージで改善しない/長時間立つ・座ると痛む/整形外科で運動をすすめられた | 腰に負担がかかりにくい体をつくり、戻りにくくする |
整体やマッサージが悪いわけではありません。受けた直後に楽になる価値があります。ただ、受け身のケアは効果が一時的になりやすいため、主要な診療ガイドラインでも、自分で体を動かすことを腰痛対策の柱にすることがすすめられています(※6)。役割が違うということです。
迷わず、すぐに整形外科へ行ってほしいサイン
次のような症状がある場合は、運動よりも先に、迷わず整形外科を受診してください。
- 脚やお尻にしびれがある
- 何もしなくても痛い、夜間や安静にしていても痛みが強い
- 脚に力が入りにくい感じがある
- 排尿・排便がしにくい、お尻や陰部の感覚がおかしい
- 発熱がある、体重が急に減っている
- 転倒やけがのあとから強く痛む
- がん・ステロイド治療の経験がある、20歳未満で発症した、胸の痛みもある
これらは、腰痛診療ガイドラインで「危険なサイン(レッドフラッグ)」とされている症状です(※1)。Kick&Coreでも、体験の前にこうしたサインがないかを確認し、当てはまる方には先に受診をおすすめしています。
腰痛がある人のジムの選び方3つ
① 始める前に、体の状態を見てもらえるか
腰痛の原因は人によって違います。腰が痛い方こそ、いきなりメニューを始めるのではなく、最初に姿勢や動きのクセを確認してもらえるジムを選びましょう。
② その日の腰の状態で、内容を調整してもらえるか
腰痛は、日によって調子が変わります。決まったメニューをこなすだけでなく、「今日は腰が重い」と伝えたときに、強さや種目を変えてもらえるかが大切です。
③ 続けられるか
どの運動が腰痛に一番よいかは、研究でも決着がついていません。大事なのは、続けられる運動を選ぶことです。通いやすさ、料金、楽しさも含めて考えましょう。
つくばのパーソナルジム全体の選び方や料金相場は、つくばのパーソナルジムの選び方と料金相場で詳しく解説しています。
Kick&Coreでの腰痛への進め方
腰痛で来られる方に多いこと
Kick&Coreには、腰痛に悩む40〜50代のデスクワークの方が多く来られます。1日の仕事終わりに腰が痛む、車で長時間移動するときに症状が出る、という方が目立ちます。
- 反り腰の姿勢で、腰痛と一緒に起きていることが多い
- 腰を“ひとまとまり”で使う癖がある(背骨を一つひとつ動かすのが苦手)
- 整体やマッサージに通っても、変わらない・すぐ戻るという方が多い
腰痛のタイプに合わせて、運動を選ぶ
まず理学療法士が、あなたの腰痛が何によって出ているのかを大まかに分けます。
| タイプ | 進め方 |
|---|---|
| 硬さが原因 | 硬くなった股関節・背中・腰をゆるめる。キックボクシングやピラティスなど、好みに合うメニューから |
| 体幹の筋力の低下 | マットピラティスで、腰を支える力を育てる |
| 体の使い方のクセ | ピラティスやファンクショナルトレーニングで、股関節と背中を使って動けるように練習する |
最大4名・1回40分の少人数制なので、理学療法士がその日の腰の状態を見ながら、強さを毎回調整します。料金は料金プランのページをご覧ください。
実例:車での移動がつらかった方が、コルセットなしで過ごせるように
当店に通われている方の中に、車で30分以上移動すると、腰が少しずつ痛んでくるという方がいました。コルセットを巻いていましたが、「気休め程度だった」そうです。
キックボクササイズやトレーニングを続けるうちに、体幹や体の軸が安定してきたためか、今ではコルセットをつけなくても、車での移動中に腰の症状が出なくなったとお話しくださっています。
ほかにも、「立ち仕事をしていても腰が気にならなくなった」「歩くときに感じていた腰の痛みが、気づいたらなくなっていた」という声をいただいています。
※個人の感想です。効果には個人差があります。
自宅でできる、腰痛セルフケア
痛みが強くないときに、できる範囲で取り入れてみてください。痛みが強くなる場合は中止してください。

- 股関節と背中を動かす習慣を:腰だけで曲げず、股関節から体を倒す。背中を丸めたり反らせたりして、腰以外がしっかり動くようにする
- お腹の力が抜けやすい方は「ドローイン」から:仰向けで息を吐きながらお腹をへこませ、お腹の奥の筋肉が働く感覚をつかむ
- 硬さが気になる方は、腰・股関節まわりのストレッチを:お風呂上がりなど、体が温まっているときに気持ちよい範囲で
- 同じ姿勢を続けない:デスクワークや車の運転では、こまめに立ち上がったり休憩をはさんだりする
腰痛と運動に関するよくある質問
腰痛があるのですが、運動しても大丈夫ですか?
多くの場合、安静にしすぎるより、動ける範囲で運動を続けるほうが回復に役立つとされています。ただし、しびれ、何もしなくても痛い、力が入りにくいなどの症状がある場合は、まず整形外科を受診してください。
整形外科で運動をすすめられました。どこで運動すればいいですか?
体の状態を確認してから始められ、その日の腰の状態に合わせて強さを調整してもらえる場所がおすすめです。Kick&Coreでは理学療法士が評価してから運動を組み立てます。
整体やマッサージに通うのは無駄ですか?
無駄ではありません。痛みや張りが強いときに症状をやわらげる価値があります。ただ効果は一時的になりやすいため、自分で体を動かして、戻りにくい体をつくることを組み合わせるのがおすすめです。
コルセットはつけたほうがいいですか?
痛みが強い時期に一時的に使うのはよい方法です。ただ、頼りすぎると体を支える筋肉を使わなくなることもあるため、運動で体幹を安定させ、少しずつ外せる状態を目指すのがおすすめです。
どんな運動が腰痛によいですか?
特定の運動が飛び抜けてよいという証拠はなく、続けられる運動がいちばんとされています。原因のタイプに合わせて、ストレッチ・ピラティス・ファンクショナルトレーニングなどを組み合わせます。
体力に自信がなく、運動が苦手でも大丈夫ですか?
大丈夫です。Kick&Coreの会員の89%は運動初心者からのスタートです。理学療法士がその日の体調と腰の状態に合わせて強さを調整するので、いきなり追い込むことはありません。
まとめ:腰痛は「腰だけ」でなく「全身から動かす」
- 慢性的な腰痛には、運動療法が診療ガイドラインでも強くすすめられている
- 腰痛になったら、まず整形外科へ。しびれ・何もしなくても痛い・力が入りにくい場合は迷わずすぐに
- 整体・マッサージは症状が強いときに。改善しない、長く立つ・座ると痛む場合は運動を
- 腰は“被害者”のことが多い。股関節と背中まで含めて、続けられる運動で体を整える
つくばで、腰痛を運動で改善したいと考えている方は、まずは体験で、あなたの腰痛のタイプを理学療法士と一緒に確かめてみてください。質問だけでも構いません。
参考文献:※1 日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修『腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版』(慢性腰痛に対する運動療法:推奨度1・エビデンスの強さB/レッドフラッグ)。※2 Hayden JA, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database Syst Rev 2021;9:CD009790。※3 Dahm KT, et al. Cochrane 2010(安静より活動維持)/Foster NE, et al. Lancet 2018。※4 Brinjikji W, et al. AJNR 2015(無症状者にも脊椎の加齢変化は高頻度)。※5 Sadler S, et al. Musculoskelet Sci Pract 2019(股関節可動域と腰痛の関連。質の低いエビデンスで因果は未確立)。※6 NICE NG59/ACP 2017/Foster NE, et al. Lancet 2018。※「腰は被害者・原因は股関節と背中」は理学療法士の臨床上の考え方で、すべての腰痛に当てはまるものではありません。本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、診断・治療を目的とするものではありません。監修:高任良知(理学療法士)

