外は猛暑、オフィスは冷房で寒いくらい。そんな環境で働くうちに、「体がどんどん重く、疲れやすくなってきた」と感じていませんか?
結論から言います。それは気のせいでも、年のせいだけでもありません。「寒暖差疲労」と呼ばれる、体の仕組みから説明できる不調です。そして、体を整えることで対処していける不調でもあります。
つくば市天久保のセミパーソナルジムKick & Coreの理学療法士が、冷房環境で働く方の体に実際に起きていることと、その対策をお伝えします。
※「寒暖差疲労」は正式な病名ではなく、気温差によって自律神経が乱れ、だるさなどの不調が起こる状態を指す言葉です(医師会や医療機関でも用いられています)。症状が強い・長く続く場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
なぜ冷房で「だるく」なるのか——皮膚は外気温のセンサーです
私は会員さんに、こう説明しています。
皮膚は、外の気温を感じ取るセンサーです。猛暑の屋外と冷房の室内を一日に何度も行き来すると、このセンサーが働きっぱなしになり、疲れてしまいます。皮膚などの温度センサーが受け取った情報をもとに体温を調整しているのは自律神経(体温・心拍・消化などを自動調整する神経)ですから、センサーが酷使されれば自律神経も乱れやすくなり、だるさが生まれやすくなると考えられます(※1)。
冷房が悪いわけではありません。問題は「温度差」と「当たりっぱなし」です。
冷房オフィスで働く人の体に、共通して起きていること
レッスン前に会員さんの体を見ていると、冷房環境でデスクワークをしている方には、はっきりした共通点があります。
- 下半身のむくみ——ほぼ全員が抱えています。長時間の座位ではふくらはぎのポンプ作用が働かず、脚に水分がたまりやすくなることが研究でも示されています(※2)
- 猫背・巻き肩・ストレートネック——この3つすべてに当てはまる方がとても多い
- 肩こりに関わる筋肉は硬く、肩甲骨の間の筋肉は弱化——固い筋肉と使えていない筋肉のアンバランス(こうしたパターンが起こりやすいとされています/※3)
- 力を抜くのが苦手——冷えて縮こまる姿勢が癖になり、常にどこかが力んでいます
「マッサージに行ってもすぐ戻る」のは、このアンバランスと血流の問題が残ったままだからです。
【実例】冷房直撃の席で、肩こりと頭痛に悩んでいた方
ある会員さんは、職場で暑がりの男性に合わせた温度に冷房が設定され、しかも冷風が直接当たりやすい席。体が冷え、肩こりと頭痛が出るようになってしまいました。
Kick & Coreでは、ピラティスで体を整えながら、キックボクササイズで全身をしっかり使う組み合わせで改善を目指しました。続けるうちに血流が良くなり、症状は軽減。体の冷えもなくなり、頭痛薬を飲む回数は月に1回あるかないか程度まで減りました。
※効果には個人差があります。強い頭痛や続く頭痛がある場合は、まず医療機関を受診してください。冷房の設定は自分では変えられなくても、冷えに負けない体側の準備はできる、という実例です。
寒暖差疲労への対策——「メリハリ」が鍵です
① 皮膚と体を冷やしすぎない
酷使されるセンサー(皮膚)をいたわります。シャワーで済ませず湯船に浸かる、冷風の直撃を羽織りものやひざ掛けで避ける、肌の保湿をする——皮膚を「冷やしすぎない・乾燥させない」ことが、意外なほど大切です。
② 中途半端にきつい運動ではなく、「メリハリのある運動」
だるいからといって、だらだら長く動くのは逆効果になりがちです。Kick & Coreのレッスンでは、短くしっかり動く時間と、しっかり休む時間のメリハリをつけています。日中は活動的に動き、休むときはしっかり休む——こうした生活リズムが自律神経のバランスを整えると考えられており、適度な運動が自律神経の指標(心拍変動)を改善することは複数の研究でも示されています(※4)。
③ 固まった背中・肩甲骨を大きく動かす
冷房環境で固まりやすいのは背中側です。肩甲骨を大きく動かす運動は、こり・重さのケアに役立ちます。長時間座りっぱなしを避け、こまめに立ち上がって体を動かすことも、むくみ対策として研究で支持されています(※2)。
【理学療法士の実体験】セミナー3日目、背中がバキバキになった話
私自身の体験です。1日8時間のセミナーを冷房の効いた会場で受け続けたとき、3日目くらいから肩こりと背中のだるさが非常に強くなりました。理学療法士でも、座りっぱなし×冷房の環境には勝てません。
私がやった対処は2つです。まず筋膜リリースで固まった体をほぐし(筋膜リリースには一時的に体が動きやすくなる効果があるとされています/※5)、それから肩甲骨や背中を大きく動かす運動を多めに取り入れる。この順番——「ほぐしてから、動かす」——が効きました。ほぐすだけでは戻ってしまい、動かすだけでは固いままだからです。
Kick & Coreのレッスンで「整える(ピラティス)×動かす(キックボクササイズ)」を組み合わせているのは、この考え方が土台になっています。
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よくある質問
冷房のだるさと夏バテは違うのですか?
重なる部分が多いですが、夏バテが「暑さによる消耗」中心なのに対し、寒暖差疲労は「温度差による自律神経の疲れ」が中心です。冷房環境で働く方は後者の影響が大きい傾向があります。あわせて夏バテ対策の記事もご覧ください。
体がだるい日に運動してもいいですか?
はい。ただし「中途半端にきつい運動をだらだら」は逆効果になりがちです。短くしっかり動いて、しっかり休む——メリハリのある運動を、理学療法士がその日の体調に合わせて組み立てます。
運動が苦手・体力に自信がなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。会員の93%が運動初心者からのスタートです。最大4名の少人数制で、あなたのペースを守って進めます。
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まとめ:冷房だるさは「体側の準備」で変えられます
- だるさの背景には寒暖差疲労があります——皮膚というセンサーの疲れが、自律神経の乱れにつながると考えられます
- 冷房オフィスの体には共通パターンがあります——むくみ・猫背巻き肩・固い肩と弱い背中
- 対策は「冷やしすぎない」と「メリハリのある運動」——ほぐしてから、大きく動かす
- 冷房の設定は変えられなくても、体は変えられます——頭痛薬が月1回以下になった実例もあります(個人差があります)
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参考文献・出典
- 「寒暖差疲労」の一般的な説明:奈良県医師会/日本成人病予防協会/アリナミン製薬 健康情報 ほか
- ※1 皮膚の温度センサー(TRPチャネル)と自律神経による体温調節:Tan CL & Knight ZA「Regulation of Body Temperature by the Nervous System」Neuron (2018) ほか
- ※2 長時間座位と下腿のむくみ/座位の中断による予防:Zhou et al.「Breaking of Sitting Time Prevents Lower Leg Swelling」Biology (2022)
- ※3 不良姿勢と頸部痛/上位交差症候群(僧帽筋上部などの緊張と肩甲骨内転筋の弱化):Mahmoud et al. (2019) ほか。上位交差症候群は臨床モデルであり全ての肩こりに当てはまるものではありません
- ※4 運動・身体活動が心拍変動(自律神経の指標)を改善:PLOS One (2024)「Beneficial impacts of physical activity on heart rate variability」ほか
- ※5 自己筋膜リリース(フォームローリング)は関節可動域を一時的に改善:Wilke et al.「Acute Effects of Foam Rolling on Range of Motion」Sports Medicine (2020)


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